先日菅章哉選手についてまとめていて、ふと思いました。
菅選手がB2級なのはフライングを3回きったから、と書きましたが、そもそもF3=B2って絶対なんだけっけ?
F3を切ったらどうなるのかをもう少し詳しく調べてみました。
なお、菅章哉選手は2021年7月からA1級に上がっています。
B2級の条件とは
ボートレースの等級審査については過去何度か取り上げていますが、改めてB2級になる条件を確認します。
■B2級の条件
- A1、A2、B1に当てはまらない
- 事故率0.7以上
つまり事故率(事故点÷出走回数)が0.7を超えるとどんなに勝率が高くてもB2になります。
また、B2の1つ上の等級B1の条件も確認しておきましょう。
■B1級の条件
- A1、A2に当てはまらない
- 事故率0.7未満
- 勝率2.0以上
- 出走回数50走以上
等級審査の期間についておさらい
等級審査の期間は5月~10月の成績が1月から適用、11月~4月の成績が7月から適用になります。
この期間のズレを図にするとこんな感じ。
5月~10月の間にフライングを3回した場合、次の期に必ずB2になるのか勝率と出走数の想定から確認していきます。
フライングのペナルティ F休みと事故点
ボートレースで選手がフライングを切ると、その回数によって休みをとるというペナルティがあります。休みの期間は以下の通りです。
F回数 | F休み日数 |
1回目 | 30日 |
2回目 | 60日 |
3回目 | 90日 |
F休みはそのとき決まっている斡旋を消化次第となるので、フライングを切ってもすぐに休みに入るわけではなく、たくさん斡旋が決まっている状況だと休みに入れるのが2~3ヶ月後ということもよくあります。
1回目の30日間の休みを消化する前に2回目のフライングを切ってしまうとF休みは累積となるので1回目の30日と2回目の60日を足して90日のF休みを取らなければなりません。
同様に、F1、F2の休みを消化前にF3を切ってしまうと一気に180日(約半年)の休みをとる必要があります。
等級審査期間が変わるとフライングの回数はリセットされますが、F休みはリセットされないので、審査期間が変わっても消化しきっていないF休みは消化しなければなりません。
また、フライングを切ると1回につき20点の事故点が付きます。(優勝戦の場合は30点)つまりF3を切ると事故点は60点になります。事故点はフライング以外でも出遅れ(出遅れもフライングと同じスタート事故です)、妨害、欠場、不良走行などで内容によりそれぞれ点数が決まっています。
ここまでの話をまとめると、「F3を切るとB2になる」という条件はないが、事故点と出走回数の関係上、必然的にB2になってしまうということが言えそうです。
Fを切った時期、F休みの時期により事故点、出走回数はどうなるのか、シミュレーションしてみました。
シミュレーション1.都度F休みをとった場合
月に最大の出走回数が何回か、というのは明確な定義がないのですが、ここ数年の出走数の多めの選手を調べたところだいたい28走くらいかなと思ったので月の出走数28走としてみました。
なお、F休みは月の始めではなくても取れるので、実際には月半ばから翌月半ばまで、というような休み方ができますがここではわかりやすいように月ごとに休みをとったと仮定しています。
等級審査期間に都度F休みをとった場合、半年間中、実質3ヶ月しか出走できず、出走回数が少なめになってしまいます。
事故点:F3なので最低でも60点
出走回数:最大84走と仮定する
事故率 0.71 ⇒ 次の等級はB2になります
さらにその次の期については90走以上の出走数が必要なA1にはなれませんが、勝率、事故点次第ではA2、B2にはなれます。
ただ、等級の高い選手ほど斡旋数が多くなるので、B2選手で月に最大数まで出走数がいくほど斡旋が多くなるということは考えにくく、実際に1期でA2まで戻るのもかなり難しいのではないかと思います。
シミュレーション2.F2&F3休みが次の期になった場合
等級審査期間にF1の30日休みはとれたものの、F2、F3の休みは次の期で消化となった場合はどうでしょうか。審査期間の出走回数が多くなるので、事故率が0.7までいかない可能性もあるのではないでしょうか。
F2、F3の休みを次の期でとった場合、確かにその期の等級審査期間の事故率は0.7を下回りました。
つまり、勝率次第ではA1も可能ではないかと思います。
(このパターンを見たことがないので今度F3を切る選手がいたら注目してみます)
ただし、その次の期の出走回数が50走に満たず、事故点に関わらずその次の期はB2になってしまいます。
期はズレましたがB2回避はできませんでした。
では最近F3でB2級になっていた4571 菅章哉選手、3188 日高逸子選手はどんな感じでF休みをとっていたのか実際の場合を見てみます。
菅章哉選手、日高逸子選手のF休み期間と等級審査
まずは菅選手。
F3を切った期は出走回数的にはB1になることは可能でしたが事故率0.7以上で次の月はB2、さらにその次の期は休みの期間が長く、出走回数が少ないためB2と2期連続B2です。
次は日高選手です。
日高選手はF3を切った期は103走と出走回数も多いのですが、事故点も72点と高く事故率0.7以上となりB2に、そしてその次の期ははやり出走回数が少なく、菅選手と同様に2期連続でB2となっています。
F休み以外のペナルティ
フライングを切った場合F休みをとらなければならず、その期間無収入となるのですが、レースによっては休み以外にもペナルティがあります。
それが、SG、G1のグレードレースの優勝戦、準優勝戦でのフライングです。
多くの人が注目し、多額の金額が賭けられているグレードレースの準優戦、優勝戦でのフライングはペナルティが重く、フライング休み、事故点ももちろんつきますが、それに加えて、一定期間SG、G1の出場ができなくなります。
ペナルティ | 直近のF | |
SG優勝戦 | 1年間SG出場停止 半年間G1出場停止 | 2013年モーターボート記念(篠崎仁志) 2007年総理大臣杯(植木通彦) 2002年グランドチャンピオン(西島義則、熊谷直樹) |
SG準優勝戦 | 半年間SG出場停止 3ヶ月間G1出場停止 | 2019年ボートレースメモリアル(峰竜太、篠崎仁志、吉田拡郎) 2019年グランドチャンピオン(白井英治、新田雄史) |
G1優勝戦 | 1年間G1出場停止 | 2020年四国地区選手権(近江翔吾) 2020年全日本王座決定戦(石橋道友) |
G1準優勝戦 | 半年間G1出場停止 | 2021年東海地区選手権(池田浩二) 2021年関東地区選手権(佐藤翼、福島勇樹、前沢丈史) |
さすがにSGの優勝戦でのフライングはかなり遡らないとありませんが、準優勝戦だと2年前に5人も出ています。特に賞金王を目指す選手たちは年間8回あるSGに何回出られるか、そこで何回準優出や優出できるかで獲得賞金に大きく差が出てきます。そのためSGに一定期間出場できないというのは選手本人にとってもファンにとっても厳しい措置だと言えます。それだけ興行的に罪が重いということですね。
今日はここまで。