フライングの罰則は強化されたけど特にフライングは減っていない件

少し前からボートレースのフライングの罰則が厳しくなったってよく聞きますよね。フライング艇に絡む舟券は全額返還になるので施工者的には売り上げに影響があるし、ファンとしてもレース展開が崩れたり、配当に影響があったりともちろん良いことではないのですが、フライングの罰則を厳しくしたことでフライング回数は抑制されたのでしょうか。少し調べてみました。

フライング罰則の厳罰化の流れ

フライングの罰則の強化がどんな感じで進んでいったか、簡単にまとめます。


ボートレースにおけるフライングの罰則は段階的に強化されています。特に近年では、2022年、2023年、そして2025年に大きな改正が行われています。

近年の主な罰則強化の経緯

2022年5月1日からの変更

2022年5月1日より、「非常識なフライング」(スタートタイミングより0.05秒以上早いフライング)に対する罰則が変更されました。これまでは即日帰郷処分でしたが、これが廃止され、通常のフライング休みに5日間が追加される形になりました。この変更の背景には、即日帰郷処分を受けるかどうかは番組編成の都合に左右される場合があり、不公平感をなくす目的があったと考えられているそうです。

2023年4月1日からの強化

2023年4月1日から、特にSG・G1・G2といったグレードレースの準優勝戦と優勝戦におけるフライング罰則が大幅に強化されました。 主な変更点は以下の通りで、選出除外期間が従来の2倍になりました。

  • SG競走の除外期間
    • 優勝戦でのフライング:12ヶ月間から24ヶ月間へ延長
    • 準優勝戦でのフライング:4つのSG競走から12ヶ月間へ延長
  • G1・G2競走の除外期間
    • 優勝戦でのフライング:6ヶ月間から12ヶ月間へ延長
    • 準優勝戦でのフライング:3ヶ月間から6ヶ月間へ延長

この厳しいルール変更の背景には、グレードレースでのスタート事故の急増が挙げられています。実際に2022年はSGやG1の準優勝戦、優勝戦でのフライングが10回くらいありました。グレードレースは売り上げも多い分、返還は施行者にとっては大打撃ですよね。

2025年4月1日からの改正

2025年4月1日からも、スタート事故防止策の一環としてさらなる罰則強化が施行されました。

主な改正点は以下の通りです。

  • 事故点の改正
    • 期内の2回目以降のフライング:事故点を20点から30点に引き上げ
    • 2回目以降のフライングが優勝戦だった場合:事故点を30点から50点に引き上げ
  • 級別決定基準の改正(出走回数)
    • A2級:70回以上から80回以上に引き上げ
    • B1級:50回以上から65回以上に引き上げ

フライングをした選手には、斡旋停止(フライング休み)や賞典除外、事故点の加算、罰金などの厳しいペナルティが科せられます。

最近では昨年のグランプリ覇者の毒島誠選手が事故点が引き上げられたことによりF2でB2級落ちを選ばざるを得ない状況となりました。

これまではF3だと確実にB2級落ち、F4で引退勧告と言われていましたが、最近ではF2でもフライングを切ったタイミング次第ではB2級落ちになるとはかなり厳しいです。

罰則強化してフライングは減っているのか

では罰則強化してフライング回数は張っているのでしょうか?

調べてみたものの、フライング回数が明確に減少したという公式なデータは公表されていません。

さらに2022年5月、2023年4月、2025年4月と段階的に罰則が強化されているところを見ると、2022年、2023年の強化は思ったほど効果がなかったのではないかと考えられているようです。

レース数から調べてみた

公式に公開されていないなら自分で調べてみよう。

以前から公式で公開されているダウンロードデータをDB化しているので2023年4月1日前と後でレース数とフライングの数を調べてみました。

データが存在していたのが2018年1月1日のレースからでした。


【罰則強化前】
2018/1/1-2023/3/31
レース数:288,412
フライングのあったレース数:4,890
フライング率:1.70%

【罰則強化後】
2023/4/1-2025/11/8
レース数:144,351
フライングのあったレース数:2,579
フライング率:1.79%

フライング発生率、上がってない?
ちなみに1レースで複数艇のフライングが発生する場合がありますが、のべフライング数ではなく、フライングのあったレース数(複数艇でも同じレースなら1カウント)としています。

集計した季節が違うとグレードレースなどの構成も違うじゃんと言われるかと思ったので年だけ異なり同じ日付となるよう
2020/4/1-2022/11/8
の期間でも調べてみましたが、この期間のフライング率は1.74%でした。

だんだんフライング率が上がってきている。そして、罰則強化後、フライングが減っているとは言えないという結果でした。

一ファンとして思うこと

グレードレースでのフライングは返還金額が大きくなるので売り上げの影響が大きいとはいえ、舟券を購入している側からすれば返還されるのであまり気にならないというのが本音です。

むしろ時期やレース、選手の状況によりフライング罰則に不公平感を感じたり、厳しすぎるという意見も出ているようなのです。

現状、数字としては罰則を厳しくすれば状況がよくなるわけではないという感じなので、もう少し緩和してくれてもよいのではないかなとボートレースファンとしては思います。

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