ボートレースで最近チルト3度って多くない?

ボートレースを見ていると、最近「チルト3度」ってよく聞きませんか?

チルトとはモーターをボートに取り付ける角度のことで、この角度を変えることにより水面に対する舳先の角度が変わります。

チルト基礎知識

ボートレース場によって違いはありますが、チルト角度は-0.5度〜3度。チルト角度を上げるほど舳先は上に向き、伸び型仕様となります。

チルト角度の下限は全場-0.5度ですが、上限は場の特徴により違います。ボードレース戸田は全国一幅が狭いため、+0.5度が上限となっています。各場の最大角度は下記の通り。

ボートレース場最大チルト角度
桐生1
戸田0.5
江戸川2
平和島3
多摩川3
浜名湖3
蒲郡3
常滑3
3
三国3
びわこ1.5
住之江1.5
尼崎3
鳴門3
丸亀3
児島3
宮島3
徳山2
下関3
若松1.5
芦屋3
福岡1.5
唐津3
大村1.5

ボートレーサーがレースで使用する一般的なチルト角度というのは-0.5で、多くの選手が-0.5か0に設定していることが多いです。しかし、ボートレース江戸川だけは河川をボートレース場にしているため、波が強く、波に負けないよう+0.5以上にするのが一般的になっています。

これまでチルト3度というのはアウト屋で有名な3857 阿波勝哉選手など、アウト屋の一部の選手だけが使う特殊な印象が強くありました。

2019年に開催されたG2、第1回ボートレース甲子園では4418 茅原悠紀選手が優勝戦でチルトを3度にし話題になりましたが、事前のトークショーでの発言を有言実行したこともあり、お祭り的なノリがあったようにも感じます。そのくらいチルト3度は「イロモノ」扱いだったのが、最近チルト3度でレースに出る選手が増えているのではないでしょうか。

最近チルト3度で出走した選手

各選手のチルト角度は直前情報で公開されているものの、最終のレース結果には記載されていないため抜け漏れなくまとめるのが難しいのですが、昨年(2021年)から今年にかけてチルト3度で出走している選手は結構います。一例ですが挙げてみます。

登録番号選手名2022前期等級支部
3435寺田千恵A1岡山
3876中辻崇人A1福岡
4030森高一真A1香川
4287今井貴士A1福岡
4403木下大將A2福岡
4415下出卓矢A2福井
4446和田兼輔A1兵庫
4475末永祐輝A2山口
4571菅章哉A1徳島
4794和田拓也B1兵庫
4853前原哉B1岡山
4854大橋由珠B1東京
4964土屋南B2岡山
5010宇留田翔平B1三重
5143常盤海心B1徳島
ここ1年くらいでチルト3度を実践した選手

ベテランから若手まで結構いますね。

チルト3度が増えたのはガースーチャンスの影響?

最近チルト3度で出走している選手は皆、アウト屋になったというわけではありません。節間中でイン戦は通常のチルト角度、3〜6号艇の時にチルトを3度に跳ね上げ外枠から勝負しています。

この戦法で有名になったのが、これまでも「ガースーチャンス」として何度か取り上げている4571 菅章哉選手。

チルト角度を上げるとプロペラもそれに合わせた形に合わせなけなければならず、これまではアウト屋の選手は伸び仕様のプロペラを節間中ずっと使い続けていました。以前持ちペラ制度(自前のプロペラを持参する制度)だったときはアウト屋の選手はチルト3度に合わせた特殊なプロペラを持っていたのが、持ちペラ制度が廃止になり、プロペラをチルト3度仕様にしきれないのか勝率が下がったとも言われています。

そんな中、菅章哉選手は場から与えられたペラを節間中に叩き変えてイン逃げもチルト3度からの一撃まくりも1節間中で実現し、多く1着をとって人気となりました。

これにより「節間中にチルト3度を組み込む」ということを現実的に考える選手が増えたのではないでしょうか。徳島支部の5143 常盤海心選手は同じ支部の先輩の菅選手の影響を受けているようですし、4964 土屋南選手も夫の佐藤翼選手が菅選手と同期で親交があるため菅選手にチルト3度のペラについて教えてもらったと発言しています。

3435 寺田千恵選手のようなベテランも最近初めてチルト3度を実践しており、今後も増えていくのではないでしょうか。

他にボートレース界で「最近流行っていない?」と思うことに「3カド」があるのですが、こちらもボートレース公式サイトからダウンロードできるデータには情報として入っていません。結構勝敗予想に影響を与える情報である気がしますが、スクレイピングを駆使するしかないのか、データ処理をどうしようか悩みがつきません。

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