ボートレーサーと引退勧告

ボートレーサーには定年はないというのは有名な話。

では一度ボートレーサーになったらあとは安泰なのか。
そうでないことは競艇をちょっと知っている人なら有名ですね。
俗に言う「8項」、正式名称「選手出場あっせん保留基準第8号」と言うルールで一定期間に一定以上の成績を上げられない選手は斡旋保留、事実上の引退勧告となるルールらしいです。

これを調べてみたのですが、結構複雑。

わかった範囲でまとめてみます。

今回色々な方のブログやサイトを参考にさせてもらったのですが、1次情報がどこなのかがわからない!色々辿った末に日本モーターボート競走会の事業報告書を参考にさせてもらいました。

「4期通算」とはどういうことか

引退勧告の条件について調べていると「4期通算」という言葉がよく出てきます。

ボートレースは1月〜6月、7月〜12月の半年ごとを「1期」という単位にしています。ちなみに等級、勝率の審査期間は2ヶ月ずつずれていて11月〜4月が次の後期、5月〜10月が次の前期の審査期間となります。

4期通算というのは4期連続してということに近いのですが、「4期分をまとめた期間」と考えた方がわかりやすいかもしれません。

また、出走回数が50走に満たない期はこの「4期通算」に含まない、50走未満の期はノーカンになるルールもあり、「4期通算」と言っても純粋に2年とは限りません。

4期通算のイメージ

1期で50走いかない期間があるとこんなイメージ

50走未満の期がある場合の4期通算

注意が必要なのは、4期連続で勝率が基準未満か否かということではなく、着順点も出走回数も審査期間の4期の合計で計算するというところです。

つまり勝率は (4期分の着順点合計)÷(4期分の出走回数の合計) という計算になります。
勝率や出走数が期によって大きく違うとパッとわかりにくいのです。

4期通算事故率0.7以上でアウト

事故率とはフライングや妨害、選手責任の失格、不良航法、待機行動違反などでつく事故点を出走回数で割った数値です。

ボートレース公式サイトにも詳しく解説が出ています。

この事故率が1期(半年間)で0.7以上だと問答無用にB2級になるのですが、さらに4期通算で0.7以上だと引退勧告となるそうです。

日本モーターボート競走会の資料では「4期通算0.7以上」と記載されていましたが、色々な競艇の情報サイトを見ていると「事故率1.0以上」という情報たまに見かけるので途中で変わったのですかね。

4期通算勝率3.8未満でアウト


着順点を出走回数で割った勝率が4期通算で3.8を超えない場合も引退勧告です。
こちらは基準は3.5未満だった時期もあるので3.5だと認識している人もいるかもしれません。

この基準は4843 深尾巴恵選手が2021年後期の等級審査で勝負駆けに成功し、引退勧告回避というのが話題になっていたので、それで知った人もいるのではないでしょうか。

ただモーターボート競走会の過去の活動報告書を見ているとどうやら他の理由で引退する選手が多かったのか、既定の人数に満たないのでこの条件は見送りとされている年がありました。

33年経過後4期通算勝率4.8未満でアウト

「4期通算勝率3.8」は結構有名なのですが、ベテラン選手になってくると強さを維持する必要が出てきます。それがこの、「33年経過以降は4期通算勝率4.8未満」という条件です。

ベテランになってくるとB1でも結構上のほうの勝率を維持しないと引退となってしまうのです。

ボートレーサーのデビューは20歳くらいが多いので50~55歳くらいになってくるとこの条件を気にする選手が出てくるのかもしれません。

4期通算出走回数60走未満でアウト

勝率を維持しなければならないのなら基準の勝率超えた時点で出走せずにいれば勝率維持できるんじゃない?と思う人もいるかもしれませんが、それを回避するルールもちゃんとあります。

それがこの「4期通算出走回数60走未満」です。

50走未満はノーカンになるからって繰り返しているといつかアウトになるということです。とはいえ丸4年程度は引き延ばせます。

一次データが探せ出せなかったけど聞いたことがある引退条件

今回は1次データにあたらねばと思い、日本モーターボート競走会やBOATRACE振興会といったボートレースを運営している関連団体のwebサイトや公開資料から条件を見つけ出そうとしたのですが、そうした公式の資料では見つからなかったけど聞いたことがある引退条件には以下のようなものがあります

  • F4をきる
  • 裸眼視力が0.5未満になる(レーシックは可)
  • 悪質な違反(八百長、整備違反)

ちなみにボートとは関係ない罪で逮捕されても引退勧告にはならないようで、DVや器物破損などで逮捕された選手はおり、一定期間の出場停止処分にはなっていますが、即引退とはなっていません。

引退勧告条件まとめ

まとめると明確にわかった引退勧告基準は以下です。

  • 4期通算事故率0.7以上
  • 4期通算勝率3.8未満
  • 33年経過後4期通算勝率4.8未満
  • 4期通算出走回数60走未満

ただし、この条件も改訂されたり、勝率に関しては免除されている年もあるようなのでこの通りではないこともあるようです。

引退勧告の条件を知っていると得をするのか

今回調べていて、まだ把握しきれていないことも多いのですが、ふと気づきました。

引退勧告の条件を知ってレース予想や舟券購入に活かせるの?

例えば応援している選手の勝率が下がってきているときに引退してしまわないか心配な時、応援している選手が途中帰郷したり最近出走がない理由が知りたい時などはこの条件を知っていると、モヤモヤしなくてすむことがあるかもしれません。

でも引退しそうな選手を知ったところであまり舟券予想に使えるイメージがわきません。

むしろあまり知られていなけど強くなりそうな選手、穴をあけてくれそうな選手を見出すことに専念したほうが舟券的には価値がありそう。

選手本人は引退の条件はちゃんと把握しているでしょうし、いちボートレースファンがそこまで把握している必要はないのかもとこれ以上の深入りをするのはやめました。

そもそも、ボートレーサーが引退するのは8項による引退勧告をされた時だけとは限りません。

今村豊さんのよう勇退する選手もいますし、家庭の事情や健康上の理由などもあり得ます。

なのでここはあまり深堀しなくてよいかなという結論にいたりました。

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