2022/4/19、ボーターボート競走会は「非常識なフライング」を起こした選手についての処置を変更すると発表しました。
非常識なフライングとは
ボートレースをやったことがない人にとっては「非常識」ってどういうこと?という感じがしますが、「非常識なフライング」とはスタートが0.05秒以上速いフライングのことです。
これまではこの非常識なフライングを切ると、原則、即日帰郷の処分となっていましたが、5月1日よりフライング休み期間が通常より5日多くなるという処分に変わるそうです。
即日帰郷とは
これまでの処分だった「即日帰郷」もボートレースを普段からやっていない人にとってはわかりにくいかと思います。
即日帰郷とはその日のレース終了後に帰郷しなければならないという処分です。似たような処分に「即刻帰郷」というものがありますが、「即刻」のほうが処分が重く、即日帰郷の場合、1日に2走する予定で1走目で非常識なフライングをしても、2走目を走ってから帰郷となりますが、即刻帰郷の場合は1走目が終わったら2走目は走らずに帰郷となります。
ボートレースを知らない人とって見ると「帰郷」ってなんで処分なの?と思うかもしれませんが、レースに出走できないのでその分、出走や着順による手当てが出ず、ボートレーサーとしては稼ぎが少なくなります。
非常識でないフライングの場合は帰郷にはならないため、賞典除外となり、準優戦、優勝戦には乗れませんが、最終日まで出走し、勝率UPや出走手当は入ります。
これまで非常識なフライングの処分は「原則、即日帰郷」でしたが、最近ではいくつか問題がありました。
1.多くの選手が帰郷してしまうと1日12レース組むための出走人数が足りなくなってしまう
出走人数が足りなくなると近くの支部の選手を追加で斡旋する「追配(ついはい)」をする場合もあるのですが、最近はコロナウイルスの影響で追加の斡旋が難しいのか非常識なFを切った後にも帰郷せず出走している選手が見受けられました。
即日帰郷のルールは「原則」なので絶対ではないのです。
2.非常識なFを切ったのが初日か最終日かで処分の重みが違う
初日で即日帰郷になってしまうと最終日までに予定されていた出走数が全てなくなってしまうので選手にとって痛手ですが、もし最終日に非常識なFを切っても、もともとその日に帰郷予定だったので出走数に影響はありません。
通常のフライングより処分が重いものとして即日帰郷の処分が追加されているのに、Fを犯した日によっては普通のフライングと処分が変わらなくなってしまいます。ちゃんと調べきれてないんですが、事故点は普通のFでも非常識なFでも同じようなのです。(優勝戦か優勝戦以外かで事故点は変わります)
このように非常識なフライングに対する処分は、Fを犯した状況によって処分に不公平感があったので、今回のF休み追加は妥当なルール改正だと思っているボートレースファンは多いような気がします。
非常識なFってどのくらいの頻度で起こるの?
ところで、フライングや非常識なフライングってどのくらいの確率で起こるのでしょうか?
2018年後期等級審査から調べてみました。
レース数 | 非常識なF(件数) | F(件数) | F発生率 | 非常識なF発生率 | |
2018年後期 | 26,969 | 66 | 681 | 2.5% | 0.2% |
2019年前期 | 27,805 | 54 | 599 | 2.2% | 0.2% |
2019年後期 | 27,015 | 58 | 628 | 2.3% | 0.2% |
2020年前期 | 27,557 | 67 | 625 | 2.3% | 0.2% |
2020年後期 | 27,217 | 74 | 672 | 2.5% | 0.3% |
2021年前期 | 28,065 | 61 | 626 | 2.2% | 0.2% |
2021年後期 | 26,668 | 81 | 713 | 2.7% | 0.3% |
2022年前期 | 26,871 | 59 | 585 | 2.2% | 0.2% |
1レースで複数艇がフライングを切ることもあるので、1艇=1件として計算しています。(発生件数をレース数で割っているので発生率と言っていいのかわかりませんが)
表を見て分かるように非常識なフライングというは全レース中0.3%しか発生しない非常にレアなものですが、フライング全体のうちの10%近くを占めています。
Fや非常識なFが多い選手っているの?
そもそも、フライングが多い(半年で4回以上)と引退勧告が出されるため、フライングが多い選手というのは存在しません。何年間もフライングを一切切っていない選手も多くいるため、2018年1月からの4年と4カ月の期間で非常識なフライングを複数回切っている選手を調べてみました。
4年で2回以上という選手はかなり多くいたので3回以上の選手だけまとめました。
登録番号 | 選手名 | 非常識なF回数 | 備考 |
3857 | 阿波勝哉 | 4 | |
4311 | 岡村仁 | 3 | |
4486 | 野村誠 | 3 | |
4624 | 高田明 | 3 | |
4807 | 岡悠平 | 3 | ※引退 |
4843 | 深尾巴恵 | 3 | |
4883 | 岡部大輝 | 3 | |
4898 | 菊地敬介 | 3 | |
4936 | 戸敷晃美 | 3 | |
4961 | 西橋奈未 | 3 | |
5020 | 宮村勇哉 | 3 | |
5070 | 中島航 | 3 |
なんと最も多いのはアウト屋で有名な3857 阿波勝哉選手。1年に1回くらい非常識なFを切っている計算。岡悠平選手は引退され、最近はTwitterで選手時代の話を発信されているようです。フライングの多さが引退につながったのでしょうか……。
ちなみに非常識なFだけでなく、通常のFも含めたフライングの多い選手もまとめてみました。集計期間は同じく4年4カ月で、8回以上という選手はたくさんいたので9回以上の選手のみまとめます。
登録番号 | 選手名 | F回数 |
3517 | 高橋勲 | 10 |
4765 | 野田部宏子 | 10 |
3257 | 田頭実 | 9 |
3859 | 多羅尾達之 | 9 |
3931 | 黒崎竜也 | 9 |
4804 | 高田ひかる | 9 |
4807 | 岡悠平 | 9 |
4914 | 吉田裕平 | 9 |
4930 | 佐藤悠 | 9 |
4934 | 佐々木翔斗 | 9 |
5004 | 河野主樹 | 9 |
今伸び盛りの若手選手の名前も結構上がっていますが、フライングには注意して活躍してもらいたいですね。
今日はここまで。